皆さん、このマスクをかぶったマッチョで風変わりな人をご存じだろうか?
自分の年代ではテレビを見ない家庭以外、知らない人はいないかもしれない。
そう、千の顔を持つ男、プロレスラーのミル・マスカラス 。
1971年に初来日し、1973年から全日本プロレスに参戦。
試合のたびにマスクを変えて、試合前にはオーバーマスクを観客席に投げてプレゼントしたり、華麗な空中殺法でファンを魅了した。
現在ゆうに70歳(正確な年齢は不詳)は過ぎているが、現役で活躍している。
リングを華麗に舞うミル・マスカラスに心惹かれて、土曜の夕方はテレビに釘付けになったのを思い出す・・・
と思い出話はこれくらいにして、
上の動画で流れているのは、ミル・マスカラスの入場曲でご存知の方も多いかと思うが、ジグソーの『スカイハイ』という曲。
自分はこの曲が大好きで、この年になってもどこからか聞こえてくると、なぜかワクワクし心が高ぶってくる。
そしてこの話しを書くきっかけとなった『スカイハイ』を思い出したのは、先日遊びに行った友人宅で、懐かしい写真を見てしまったからだ。
数十年もの月日を経たのに、それなりに色あせていない写真に写る若い男女。
それは、自分も出席した友人の結婚披露宴の写真だった。
腕を組みながらも少し硬い笑顔の二人。
「この顔が引きつっているのは入場の時の写真かね?」と口にしたら、
引きつっているは余計だと、お勝手の方から声がした。
友人夫婦は、披露宴の入場行進曲に『スカイハイ』を選んだ。
英語は少し、いや、だいぶ苦手な二人、そして片田舎でその歌詞の意味など知る者は誰一人いなかったであろうから、曲が流れだしたと同時に、式場内は異様な盛り上がりをみせたのだった。
もちろん登場まで自分もその曲を選んだことは知らされていなかったから、何のアドバイスのしようもなかったのだが、当時の自分は好きな洋楽の歌詞を訳すことが楽しかったので、『スカイハイ』の歌詞も何となくの意味は分かっていた。
そう、失恋の曲なのである。
「いいや、歌詞の意味は知らなかったことにしよう」
複雑な思いを払拭するかの如く、飲んで食べた。
I gave you all I had to give
僕の全てをあげたのに
Why did it have to stop
どうして行き詰まったのだろう
You've blown it all sky high
君は僕のあげた愛を空高くに放り投げてしまった
By telling me a lie
僕に嘘を付き続けながら
Without a reason why?
どうしてなんだ?
You've blown it all sky high
君は僕のあげた愛を空高くに放り投げてしまった
自分の感情も入っているので正確ではないが、披露宴にはいかがなものかといった歌詞なのだ。
しかし、友人が未だに仲睦まじく夫婦をやっていることに安堵した。
そんな夫婦を横目に、今教えたら笑い話になるだろうか?
それともショックだろうか?なんて考えながら、出されたビールをゴクゴク飲んだ。
知らぬが仏、世の中には知らなくても良いことの方が多い。
何より友人は幸せなのだ。
やっぱり自分はずっと黙っていることにした。